第四十問[捕らわれたのは何故か] つれないほど青くて あざといくらいに赤い 感想&考察

つれないほど青くて あざといくらいに赤い 感想&考察

第三十九問では、知山アラタと為水ショウコが「知らずの間」で七不思議にまつわる秘密を漁っていたのだが、その二人を覗き見る人影がいた。
その後ろ姿は、速水ミハヤであったため、ショウコの静止を耳に入れず、アラタが追いかけ始めたところだった。

電柱の人影

第四十問の扉絵は、電柱に座る女性の人影だった。
この人影は第十問にも登場しているのと、きっと同じだろう。
第十問で、アラタは中園ナツメを病院に送り届け、その帰路でふと空を見上げたときに、目にしたのである。

この人影は、きっと異界とのつながりを示すものなのだろう。

ナツメが病院に行った理由は七不思議「放課後の屋上が異界につながる」を試した結果、足首を捻挫したためであるが、アラタのときは異界につながったのだが、ナツメは異界に行けなかった。
なぜナツメが異界に行けなかったのか不明だが、異界が染み出した証拠が、電柱の女性なのだろう。

鬼ごっこ

ミハヤらしき人影を追いかけるアラタ。
しかし、一向に追いつかない。

ミハヤとアラタの鬼ごっこは、つれ青の定番である。
追いかける⇔追われるの関係がたのしい作品なので、アラタがどんなに追いかけても追いつかないのは、アラタの想いが届かないことの比喩であり、つかず離れずの距離感が魅力である。

さて、さびれた神社まで追いかけたところでミハヤが立ち止まった。

このときのミハヤは、ホラーに全振りしており、非常に恐ろしい。
一切言葉を発さず、アラタの問いかけにも応えない。

極めつけは、このイラストである。

出典:つれないほど青くて あざといくらいに赤い 第四十問 著者:tomomi

廃神社に佇む無言のミハヤがなんとも怖ろしい。
不気味な青さという色使いも、おどろおどろしさを際立たせてくれる。

圏外からの着信

ふいに、アラタの携帯電話が鳴った。
時代背景からガラケーを使っているが、その背面の液晶には「圏外」の文字が示されている。
ストーリーの細かなところで、異常を伝えているのだ。

この電話の声の主もまた不可思議な存在である。

アラタと通話していることそのものがおかしいのだが、それ以外にも、
・これから起きることを知っており、アラタの動きを誘導する。
・ミハヤらしき人影の正体を知っている。
と怪しいことこの上ないが、今は従うほかないといった状況だ。

電話に出たアラタに襲い掛かってきたのは、のっぺらぼうで手が以上にのびたミハヤであった。
首が180°回転しているのも気味が悪い。

出典:つれないほど青くて あざといくらいに赤い 第四十問 著者:tomomi

おわりに

第四十問は、ミハヤとアラタのアバンチュールではなく、アラタに襲い掛かるホラー展開であった。
つれ青史上、一番怖いストーリーだったと思う。
これまでは、怖さの中に哀しさや切なさがあったり、ミハヤが傍にいたのでなんとかなるだろうという安心感があったが、今回はアラタがたった一人であり、救われる方法が思いつかないので、四十一問では、なんとか逃げ延びてほしい。

最後に、管理人からお知らせ。
登場人物一覧を作成した。
「つれないほど青くて あざといくらいに赤い」「八月九日 僕は君に喰われる。」の両方の作品の主要人物を網羅したので、ぜひ見てほしい。

次回、二〇二三年九月十五日更新予定。

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