第五十八問[この滑稽を何と言う] つれないほど青くてあざといくらいに赤い 感想&考察

つれないほど青くてあざといくらいに赤い 感想&考察

第五十七問で、速水ミハヤの正体について、加藤ナオキの証明が披露された。
この証明を聞いて、知山アラタはどうするのか、本作の核心に迫る第五十八問。

証明

加藤の示した結果、それは速水ミハヤの正体はお化けである。というものだった。
集団幻覚の結果が生み出した根拠なき存在、それが速水ミハヤであるらしい。

集合意識が交じりに交じって本来の姿からかけ離れていく様をお化けと定義するなら「神」という言葉に良いイメージが足されていった存在が速水ミハヤ

出典:つれないほど青くてあざといくらいに赤い 第五十八問 著者:tomomi

元々はあやふや幻覚であったものが、歴代の住人たちの言葉でイメージが保管されていったのだろう。
神として求められ続けた結果、神秘性をまとい、誰もが等しいミハヤの像を作り上げるにいったのだ。

正体

その証明を果たした直後、加藤はこれまでの苛立ちを抑えらなくなったのか、町の住人を罵倒し始めた。
話しているうちに、様々な怒りを思い出し、腹立たしさがこらえられなくなったかのようである。

そんな発言をすれば、アラタであれば反論するかと思いきや、戸惑い始めた。
それもそのはず、中園ナツメの指示に従って左目を隠して、右目だけで加藤を見たら、姿が見えなかったのである。

おい 何してんだお前

出典:つれないほど青くてあざといくらいに赤い 第五十八問 著者:tomomi

単純だが、ぞっとする。目の前から人が姿を消し、声だけが残る。
先ほどまでの姿がイメージとして残り、描いていないのに怖ろしい怪異がいるかのようだ。

加藤の正体、それは幽霊だった。

加藤は取材を開始した後、行方不明になっていたようだ。
監禁されて殺されたのだろう。

アラタが幽霊とどうやってやりとりをしたのか気になるが、その幽霊のおかげで、ミハヤの正体に辿りついたのだ。

速水ミハヤ

速水ミハヤの正体は、お化けである。
集団幻覚によって生み出された存在であり、住民が望みを凝縮して生み出された怪異と言えるだろう。

昔話の頃から存在しているならば、100年近く続く存在だろう。
人間であれば三~四世代に渡る期間であるが、そのイメージが崩れないのは、イメージをバトンする住人がいたこと、それも幽霊になってからも神に縋った幽霊たちの存在があるのだ。

加えて、ミハヤ自身も自らが失われないようにふるまっていたのも大きいだろう。

寂しいと先輩は言っていた

出典:つれないほど青くてあざといくらいに赤い 第五十八問 著者:tomomi

おわりに

物語の核心であるミハヤの正体に辿りついたアラタたち。
なんとなく抱いていた違和感を証明されて、今後ミハヤとどのように接すればいいのか、目を反らしていた課題に向き合わざるを得なくなってしまったアラタであるが、果たしてどのような行動を起こすのか。

答を読み解く限りでは、それでも一緒にいることを選んでいそうであるが、続きを待とう。

次回、二〇二四年七月十二日更新予定。

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