第六十二問[この21グラムは何処へ行く] つれないほど青くてあざといくらいに赤い 感想&考察

つれないほど青くてあざといくらいに赤い 感想&考察

誰もいない夜の街中を散策デートする知山アラタと速水ミハヤ。
時折聞こえる声に近づかないように進む二人であるが、第六十二問ではその声の正体と、七不思議の真実に迫る。

七不思議の真実

七不思議「満月の夜 月が綺麗に映ったプールには入ってはいけない」の真実が紐解かれた。

水面に映った満月に飛び込んではいけない
その先はあの世の世界へと繋がってしまうから

出典:つれないほど青くてあざといくらいに赤い 第六十二問 著者:tomomi

プールの水面にきれいに映った満月に飛び込んだ結果、あの世に旅立ってしまうようだ。

学校のプール程度の深さと流れの無い場所で、入水自殺をしようとしても到底上手くいくものではないが、七不思議に頼ると確実にあの世への入り口に立てるらしい。

この第六十二問の副題でもある「21グラム」は魂の重さであるから、アラタの魂だけで彷徨ってしまったのだろう。

しかしながら、幸いなことにアラタはあの世に逝ってしまうギリギリのところで、中園ナツメのおかげで踏みとどまれた。
何日も眠っていたようだが、息を吹き返した。

ナツメがどうやってアラタのところにたどり着いたのかは疑問が残るが、これで物語が続いていくだろう。

声の主

アラタを聞こえていた声の主、それは猫の鳴き声、それもアラタがムジナから救った猫の鳴き声だった。

いわば猫の恩返しである。

しかしアラタの命を救ったことで、ミハヤの不興を買ったようだ。

ご迷惑でしたか?

出典:つれないほど青くてあざといくらいに赤い 第六十二問 著者:tomomi

ミハヤがこんなにもストレートに不機嫌を表すことは初めてだろう。
今までのたびたびミハヤの怒りを買うようなことをアラタはしていた(体育館の白い手をミハヤではなくナツメと調査したり、七不思議狩りでミハヤと組まず為水ショウコと組んだり等)が、そのときも怒っている様子であったが、本気ではなく、若干楽しんでいる空気も醸し出していた。

だが、今回は本気で目論見を台無しにされたことに苛立ちを隠せていない。
睨みつける表情すら美しく、ぞっとするが、恐ろしさ満点である。

負け

アラタとミハヤの恋の駆け引き勝負について、ミハヤがアラタに惚れていることを認めた。

僕の方が惚れてしまったのでは
話にならないじゃないか

出典:つれないほど青くてあざといくらいに赤い 第六十二問 著者:tomomi

アラタの目の前で告白してはいないものの、その想いの丈を吐き出してくれた。

ミハヤの正体がお化けであることが判明してから、ここしばらくのミハヤの行動は、アラタを死に誘う行動であったことは言うまでもなく、あからさまに自分のいる本来の世界に引きずりこむつもりだったのは、これまで読み続けていればわかるだろう。

その想いのこうして言葉にしてくれたことに、物語の進展を感じさせる。

おわりに

七不思議の正体が1つわかり、ミハヤの真実に近づきつつあるアラタ。
アラタとの逢瀬をいつまでも続けたいが続けられないならばと心中しようとしたミハヤ。
アラタを死なせまいと奮闘するナツメと柱場ハルヲ。
なんだかんだ手を貸してくれるショウコ。

五人の立ち位置も固定化し、物語の終わりが近づいてきたことを予感させた第六十二問であった。
次回はエピローグとして、より詳しいことが判明することを期待しよう。

次回、二〇二四年九月六日更新予定。

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