プールサイドでの休憩する知山アラタと速水ミハヤ。
「七不思議などではなかったのでは?」と思い、プールを出るとき、ふと見上げた夜空には欠けた月が浮かんでいた。
二人がいる世界は、異世界なのか、現実か?
夜の散歩へと繰り出した二人を描く第六十一問の始まりである。
夜の散歩
学校を出て、たどり着いた先は商店街のアーケードであった。
お化けの歩き方
手を取り合って町を歩き、あちらへこちらへ気が済むまで進むのだった。
商店街、神社、公園と二人だけの過ごす時間は、微笑ましいデートである。
だが、ここまででモブが一度も登場していないのが違和感である。
tomomi氏は、余計な人物を書くことが少ない、というか、物語の特性上、関係ない人物が登場する瞬間が少ない。
しかしながら、教室内では名前の出てこないクラスメイトが描かれていたり、デートをしたときにも、人影は描かれていたので、必要であれば書くはずである。
誰もいない商店街は神秘的ではあるが、商店街があるほどの町であるならば、酔っぱらいの二~三人いるのが当たり前と思った方がいい。誰もいないのはそれころ不自然である。
このような些細なところからも、実は異世界に迷い込んだ見ることができるだろう。
声
夜のデートを楽しんでいた二人だったが、アラタはふいに声を耳にして、振り返った。
ミハヤは「邪魔しては悪い」と、アラタの視線を遠ざけたが、不安の残る幕引きであった。
さて……どうしたものか
この声の主は誰のものだろうか。
ミハヤは怪異の存在に気づいており、遠ざけるためにつぶやいた言葉か。
それとも二人を追うナニカが発した言葉なのか。
管理人としては、ナニカが発したものだと思う。
ミハヤがアラタに聞こえる形で言うことはないだろうし、ミハヤの心の声が描かれることはもっとない。
文脈からアラタが言うセリフとも思えず、第三者の発言とみるべきだろう。
おわりに
二人きりの夜の散歩を楽しむアラタ。
しかし、読者には、このあとの不穏な空気が見えており、緊張が隠せない。
このあと登場する怪異への期待を膨らませて終わった第六十一問。
次回、二〇二四年八月二十三日更新予定。
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