第七答[大人] つれないほど青くてあざといくらいに赤い 感想&考察

つれないほど青くてあざといくらいに赤い 感想&考察

突如現れた怪異から逃げ込んだ部屋で、柱場ハルヲと中園ナツメから速水ミハヤの正体を聞かされる志藤ハスミ。

すると、ミハヤの正体を口にしたためなのか、ミハヤらしき影が三人の前に姿を見せた。

部屋の扉からは出ることができないため、窓から影を追いかける。

缶蹴り

追いかけた先はさびれた神社だった。
その有様は知山アラタがムジナと遭遇したときと同じである。

その廃神社で、アラタを賭けた缶蹴りが始まった。
缶蹴りという形ではあるが、ナツメがミハヤと正面から対峙するのは十年ぶりである。

そして、久々に向かい合う中で、ナツメのアラタへの想いが飛び出した。

この泥棒猫ヤロー

出典:つれないほど青くてあざといくらいに赤い 第七答 著者:tomomi

泥棒猫というワードは、第十問でミハヤがナツメに喧嘩を売った時に言ったセリフの一部である。

このときは、自分のものであるアラタにナツメが近づいてきたので、ミハヤが牽制するために言った言葉だが、今度は逆の立場になった。

ナツメにとっても、アラタの存在は大切なものになっていたのだろう。

数少ない怪異の苦しさを分かち合える存在であり、たとえ変な目で見られようとも、同じように怪異を追いかけるアラタは貴重な仲間だったはずである。

そんなアラタの気持ちを十年前からずっと独り占めしてきて涼しい顔をしておきながら、今度は姿をくらまして、身も心も独り占めしたミハヤへの苛立ちがあるのだろう。

加えて、表情や回想から読み取るに、ナツメもミハヤと対等に接していたにも関わらず、ナツメだけ取り残されたことの悲しさが感じられた。

扉絵

扉絵への「電柱の上のお化け」が女性の姿から、男性のような姿に変わった。

まるで知山アラタがそこに佇んでいるかのようである。

第五十四問で、アラタは一方的にお化けの君に話しかけていたが、その時の最後の質問は「お化けと生者の恋は…末永く続くと思うか?」であった。

お化けと生者の恋は…
末永く続くと思うか?

出典:つれないほど青くてあざといくらいに赤い7 第五十四問 著者:tomomi

お化けの君が恋心を引きずっているから電柱の上にいるのだと、アラタなりに感じるところがあったのだろう。

そして、今度はアラタの魂が電柱の上に釘付けになっているのだろう。

おわりに

相変わらずハルヲのポンコツ具合が哀しい。

……もう捕まってしまった

出典:つれないほど青くてあざといくらいに赤い 第七答 著者:tomomi

十年前は運動音痴の描写は無かったと思うのだが、いつの間にか、あまりのポンコツぶりである。
その割に、ハスミの心を掴んでいるので、何がいいのかわからない。

さて、最後はハスミが感を蹴ろうとしたところを頭と首を掴まれてしまった。

果たして間に合うのだろう?

そして、ミハヤから表情と声が消えてしまったが、会話できるようになるのか、次の話で明らかになってほしい。

次回、二〇二五年五月十六日更新予定。

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