第七十三問[その挫折は何度目か] つれないほど青くてあざといくらいに赤い 感想&考察

つれないほど青くてあざといくらいに赤い 感想&考察

知山アラタと矢印トキの鬼ごっこは終了し、アラタの思い出は奪われずに済んだ。
その続きとなる第七十三問。

影鬼

アラタとトキの鬼ごっこの顛末を察しているであろうミハヤは、トキを学校の屋上に誘った。

ミハヤのトキへの接し方が、アラタと異なること、そして今後もアラタと同じになることは決して無いことを告げられて、トキは憤った。

その答えを聞くために、ミハヤとトキは影鬼をすることになったのだが、そのために異形の影を見ることになった。

出典:つれないほど青くてあざといくらいに赤い 第七十三問 著者:tomomi

首から上にさらに頭と体をいくつも生やした化け物となったミハヤの影を見て、トキは影を踏むのを躊躇してしまう。

このあとトキは、陰からミハヤへの目を移すが、そこに視線を落とす前と変わらないミハヤの姿があった。

偽物

トキの行動はアラタを模倣しているが、心の動きはアラタの動きを予想し、合わせているだけに過ぎないことがわかっただろう。

「アラタなら勇気を以てその姿を見る」と考えてトキは顔をあげたが、アラタは勇気を出してみているのではなく、見たいから見る、知りたいから知ろうとする純粋な好奇心が行動原理にある。

しかし彼を動かす好奇心とは湧き出す他社への関心
本人が「患った」と揶揄するだけあってなろうとして成れるものではないんだよ

出典:つれないほど青くてあざといくらいに赤い 第七十三問 著者:tomomi

トキが、アラタに対する認識が誤っていたという話ではない。

真似をしている限り、いや、本物になりたいと思っている限り、本物にはなれないことを言いたいのだ。
もし、トキがアラタの行動や心を徹底的に知り尽くしたその行動原理に馴染んたとしても、アラタになりたいと思っているトキの自我がある限り、それはアラタではなく、トキなのである。

いわば、精巧な偽物に過ぎないのだ。

いらない

ミハヤから突き付けられた言葉に強い怒りを覚えるトキ。

トキがいるから、アラタになれないならば、トキがいなくなればいいという結論を出して、ページが終わった。

「矢印トキ」なんて要らない

出典:つれないほど青くてあざといくらいに赤い 第七十三問 著者:tomomi

そもそもの疑問として、なぜトキはアラタになりたいのだろう。
ミハヤになりたかったのもそうだが、なぜそんなにも別の者になりたがるのだろうか?

強烈な自己嫌悪が内在しているようにも思えるが、そのバックボーンが見えてこないので、いまだにトキはよくわからない人物である。

おわりに

答の回が一向に出てこない。

第四答以降、ずっと出てこないので、未来の話でどんな結末があったのか知りたい気持ちが高まっている。

アラタを狙う強硬派を打倒することが出来たら、一区切りになると思うので、そのときに答えがあっってもいいと思うのだ。

次回、二〇二五年二月二十八日更新予定。

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