前回、志藤ハスミは、缶蹴りに勝ったことで、速水ミハヤと知山アラタの最期の記憶の垣間見た。廃校で、ミハヤは、いつまでも一緒に居られることを願いながら、アラタの首を絞めていたのだった。
そんな悲しい思い出から目を覚ましたところで終わったのが前回である。
アラタの死の瞬間を知ったハスミ、柱場ハルヲ、中園ナツメはこのあとどう動くのか?
為水ショウコ
ついに、為水ショウコも登場した。これで主人公側のメインキャラクター達は揃ったと言っていいだろう。
どうやらハルヲとナツメの予定は、ハスミを仲間に引き入れたあとは、ショウコを落ち合う予定だったようだ。
私 あの人のこと好きだったのよ
出典:つれないほど青くてあざといくらいに赤い 第九答 著者:tomomi
十年後の未来なので、ショウコの年齢は二十八歳。魅力的な美女に成長していた。
そして、町長代理としてこの町を治めているようである。
ハスミも顔を知っていることを考えると、表舞台に立って、色々と頑張っているのだろう。
“代理”とあるので、前の町長である櫻井の存在が気になるところである。
また、犬飼家と矢印家も強行派として、存続しているらしく、穏健派の為水家が町長代理を務めていることから、派閥としては穏健派が優勢なのだろう。
さて、ショウコと落ち合った後、四人揃って向かった先は、ショウコの家であった。
この日の夜は、ショウコの家で、ミハヤとミハヤにまつわる不思議を子供たちに伝える集会をやっていたようだ。
忘れられてしまうことは寂しい、ならば恨まれようと、怖がられようと、化け物に成り果てても出てきてしまう彼らの行為は、町人にとって害であり、町を狂気に陥らせる危険であるので、忘れていないことを示すことで、供養としているらしい。
お化けの来訪
集会の最中、ハルヲは何かを感じ取ったらしく、ナツメとハスミを連れて、懇親の場を抜け出した。
とくにチャイムが鳴ったわけでないが、ハルヲが表情を固くしたことで、埒外のことが起きていることを、ハスミも察しているようだ。
彼らは玄関に向かい、そのガラスの向こうに映った人影は、アラタの影であった。
出典:つれないほど青くてあざといくらいに赤い 第九答 著者:tomomi
まるで第六十三問に登場した先祖たちと同じ現れた方である。
つれないほど青くてあざといくらいに赤い8
第六十二問~第七十問が収録。
はたしてこれはほんとうにアラタなのだろうか。
第六十三問で登場した影は、最初はハルヲの兄の存在を騙っていた。
同じように、これもアラタの形を偽っている何かである可能性が高い。
供養のためやっていた集会だが、ハスミをきっかけとして、ミハヤと接触が十年ぶりに強まったことで、怪異の出現が一気に強まった可能性はある。
おわりに
ついにアラタが登場するのだろうか。それともアラタの姿を偽る怪異なのだろうか。
次回の更新が楽しみである。
次回、二〇二五年六月二十七日更新予定。
コメント