七不思議狩りを終えて、町長の櫻井との対面する知山アラタ。
櫻井の語る「いる筈のないものを見てしまう病」の神話を聞き、アラタはどのような決断を見出すのかー
逸話
第四十八問で語られた逸話は、病を罹患した者たちにとって救いを示すものであったようだ。
なんとか逸話を再現し、神となった死人が病を癒してくれることを期待しているのである。
その派閥が犬飼を使って、アラタたちを消そうとしたようだが、町長が止めてくれた。
その理由は、逸話の中に結末が記録されていなかったからである。
出典:つれないほど青くてあざといくらいに赤い 第四十八問 著者:tomomi
住民たちが話し合ったという行動が肝であったようだ。
その美しき神秘が、「いる筈のないものを見てしまう病」のために見てしまったまやかしであるならば、逸話を再現したところで、解決には至らない。
逸話が、救いの道しるべにならない可能性すらあるのだ。
覚悟
逸話の再現で癒せないならば、別の道を探るしかない。
だが、住民を救うため逸話が正しいならば、櫻井はミハヤを殺める覚悟を決めていた。
もちろん、殺めるのは最後の手段である。
軽々に殺めるのではなく、ミハヤの正体を暴きたてること病を癒す糸口になると考えるようだ。
怪異を招き寄せ、万人を魅了する速水ミハヤの正体を探りあてることができれば「いる筈のないものを見てしまう病」の正体に近づき、治せると考えているのである。
しかし、アラタも覚悟を決めていた。
「ミハヤを守る」
ただそれだけである。
第十六問で為水ショウコと対峙した際に言った『好きなら「守る」だろうが』のセリフに、アラタの想いが込められている。
ミハヤを傷つけることをヨシとしない。
傷つける存在とは、徹底的に戦う。
アラタの想いを再確認できた名場面だった。
はなさない
今回はもう一つ名場面があったので、見逃せない。
アラタがミハヤを抱きしめたシーンだ。
このシーンには魅力がいくつもある。
- 最愛の人を殺すとまで言われた直後に、目の前にミハヤがいて、どんな表情をしてよいかわからなくなっているアラタ。
- 急に抱きしめられて、驚くミハヤ。表情が完全に乙女である。
- 「離れないでほしい」とミハヤに縋るアラタ。
- 答えたくなり口を開くも、考え直して、どっちつかずのつれない返事をするミハヤ。
殺伐としていたところから、急に甘いムードが流れ始め、身悶えする場面である。
個人の推しは、つれない返事をするミハヤだ。
本音で答えたくなるくらいにアラタに好意を向けている感じや、そのうえわざとつれない返事をすることで、アラタとの過ごす時間が長く続くように願っている心情が思われ「とっくに惚れてるだろ!」とツッコミたくなる。
第一答から結ばれることは、きっとないのだろうが、それでもアラタとミハヤがお互いに幸せになれるエンディングを迎えてほしいと願うばかりだ。
おわりに
今回、また一歩、七不思議狩り編の回収が進んだ。
このあとは犬飼や新聞部がどうなったのか、拡散された七不思議はどこまで収束していくのか、あと少しだけ回収が残っているので、続きを待ちたい。
次回、二〇二四年二月二十三日更新予定。
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