前回、知山アラタはついに、土地の逸話、怪異の正体を見破った。
神隠しの真実を見抜いたあとのエピローグとなる第六十六問。
見つかる
怪異の正体を見破ったことで、行方を突如くらませた柱場ハルヲと神隠しにあった子供は見つかった。
怪異騒ぎの発端と作ったと疑いをかけられたアラタであったが、これで町の過激派から狙われる理由が解消されたのだ。
とりあえず朝までですが為水さんのお屋敷で過ごしてもらっています
ありがとうございます
このあとも無事でいられるとは言い難いハルヲの姿勢とショウコの表情であるが、少なくとも連れ去られて、助け出された直後になので、また怪異に襲われるような愚行は侵さないだろう。
神隠しにあった子供も、親元に返せばいいのに、不憫である。
付き合い方
町の逸話に出てきた「いるはずのないものを見てしまう病」、そしてその結末と関連する怪異の実態をつかんだことで、町長の願いは大きく前に進んだ。
町長は、ミハヤを使って、この逸話をどうにかしようとしていたが、それを阻止するためにアラタは頑張っていたのである。
この対立も解消の兆しが見え始めた。
そして、中園ナツメが狙いである、周囲に怪異の存在を認めさせることについても、アラタが怪異に手形をつけられたことで、こちらも前進したと言えるかもしれない。
少し思い返すと、アラタは少し前までミハヤと夜のプールに飛び込み、死にかけていた。
にも関わらず、それでも怪異に近づき、寄り添おうとする姿は、恐怖のタガが外れていると言えるだろう。
そもそも、ミハヤの正体に気づいたうえでプールに飛び込んでいたのだから、無我夢中と言わざるを得ない。
ただ
納得できていないだけだ
ーーー町の逸話は第四十八問に掲載ーーー
また明日
死の淵で別れたアラタとミハヤだったが、カーテン越しに再開を果たした。
言葉を尽くすまでもなく、ミハヤとの切ない会話に感情が揺さぶられる。
アラタの目に映るミハヤはいつだってなんなのだろうか。
寂しそうなのか、愛おしいなのか。
我々読者諸氏が入れたい言葉を入れればいいのだろう、そのすべてがきっと当てはまるに違いない。
出典:つれないほど青くてあざといくらいに赤い 第六十六問 著者:tomomi
今の二人にとって、いまや賭けは一緒にいるための方便になったのだろう。
アラタがケダモノになる前に、ミハヤの正体にたどりついてしまった。賭けの結果が出る前に、先に報酬を探り当ててしまったのだ。
だが、アラタにとって大切なのはミハヤの正体ではなく、ミハヤに惚れてもらうことであり、一緒にいることなのだ。
だが、先に正体を明かしてしまえば賭けは破綻する。
そうなれば、離れ離れになる。
ネバーランドに居ることを望むがごとく、いつまでもこの関係が続くことが、二人の願いになったのだろう。
最後のページのアラタの笑顔は素晴らしかった。
おわりに
プールの七不思議の正体、町の逸話の真実、アラタとミハヤの関係の進展と、物語が大きく進んだ第六十六問。
とてもきれいな幕引きとなったが、このあとの展開をどうするつもりなのだろうか?
もう怪異とか忘れて、ずっとデートしていれば平和だろうに……と思ってしまうのは愚かなのかもしれない。
さて、十一月一日の更新はお休みとなり、次は一ヶ月後になるようだ。八月九日の更新か、単行本作業をするのだろうか。
次回、二〇二四年十一月十五日更新予定。
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