第十一答[幸福] つれないほど青くてあざといくらいに赤い 感想&考察

つれないほど青くてあざといくらいに赤い 感想&考察

前回、柱場ハルヲ、中園ナツメは知山アラタとの再会を果たした。

しかし、アラタは逸話として認識されていないため、異形の怪異に成り果て、人格の消滅も近づいていた。

そんなアラタに対し、ハルヲが解決策をほのめかしたところで終わった。

果たして、どんな解決に導くのかーーー

七不思議先輩

アラタを救う答え。

それはアラタを逸話として、語ることだった。それも、ミハヤとは別の存在として、逸話を町に根付かせることで、アラタの存在の輪郭をハッキリさせることができるようだ。

前回の考察で、学校の七不思議にアラタがいるので、これらを強化していくと予想していたが、大当たりだったようだ。

むしろアラタの存在は、ハルヲ達が流した話のようである。

町のしがらみに縛られず、好奇心旺盛な子供たちが多い学校という場所を起点にすることで、アラタの逸話を根付かせることに成功したのだろう。

そして、この選択は生前のアラタから遠ざかった存在にしてしまう可能性もあったが、アラタはそれでもアラタとして残ることに迷いは無かった。

こんな俺でもまだ……助けてくれるか?
ハルヲ先輩

……当たり前だろう

出典:つれないほど青くてあざといくらいに赤い 第十一答 著者:tomomi

ハルヲ達が十年間足掻いた末にようやくたどり着いた解決策は、人間を人でなしにしてしまう危険を大いにはらんだ解決だった。

ハルヲもナツメもこんな提案しかできないことに自らの力不足を悔いている様子だったが、アラタがその提案を一瞬の迷いなく選び、感謝を示してくれたことに、ハルヲは今までこらえていた涙があふれてしまったようだ。

この涙は、アラタがやっとハルヲ達の手を取ってくれた嬉しさと、こんな解決策でも怒りも恨みもなく受け入れてくれたこと。
十年間足掻いてきたことが報われたこと。
それでも、こんなことしかできない自らの不甲斐なさ。
これら全てが詰まった涙だと思う。

ほんとうに良かった。

幸福

さて、ミハヤと分かたれて、アラタという個の逸話であり怪異となったことで、久しぶりに、ミハヤとアラタとして再開することができた。

久しぶりのデートに幸福な時間を過ごせたようである。

一つ、賭けをしませんか?

出典:つれないほど青くてあざといくらいに赤い 第十一答 著者:tomomi

再開した二人であるが、また賭けを再開するようだ。

とはいえ、ミハヤとアラタにとって、賭けごとは二人にとっての日常である。

十年前と同じように駆け引きをして過ごすことができる。これこそが大切なのだ。

二心同体ではできない、別々の存在だからこそ許される遊びである。

おわりに

もう十分な答えを得た。

完璧なハッピーエンドとは言い難いかもしれないが、ミハヤとアラタは結ばれたと言っても過言ではなく、ハルヲとナツメとショウコも十年間抱えていた後悔をすすぎ、這いずり駆け回った時間が報われたと評して良いと思う。

「次回最終回」と言われても、文句は無い。個人的には見事なハッピーエンドだった。

逆にこれ以上色々語ることなんてあるのだろうか?

次回、二〇二五年七月二十五日更新予定。

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