第三十九問[訪れたのは何故か] つれないほど青くて あざといくらいに赤い 感想&考察

つれないほど青くて あざといくらいに赤い 第三十九問 感想&考察 感想&考察

三十八問をラストをおさらいすると、ミハヤが無縁墓地の幽霊?たちを連れていったところだった。
その続きである。

関係性

無縁墓地の七不思議にけりをつけて、学校に戻ってきた速水ミハヤと中園ナツメを、犬飼と柱場ハルヲが出迎えた。
これまで見えてこなかった関係性が描かれているのに注目しよう。

まず、ミハヤと犬飼。
犬飼は新聞部の2年生として、初登場しているが、ミハヤへの感情の発露というのはこれまでなかった。
新聞部部長である為水ショウコは、ミハヤを神として心酔し、その心酔する自分自身に陶酔している節があったが、犬飼にはその雰囲気がこれまでなかったので、初めて犬飼がミハヤに対してどのような感情を抱いているのかわかる場面であった。

結論から言えば、フツーである。

「濡れた姿も素敵です」と言うのは、おかしいと言えばおかしいのだが、つれ青の世界観では、フツーの範疇に収まる反応でしかない。
ミハヤのファンクラブ会員という観点で考えれば、このくらいがちょうどよいのかもしれないが…

一方で、ナツメとハルヲの関係も垣間見れた。
この二人の絡みも初めてであろう。
ナツメの1つ先輩であるハルヲが、ナツメの世話を焼くのがほほえましい。
子ども扱いされて、そのあとハルヲを殴ろうとしているのと合わせて、気の置けない仲になったことが感じられる。

知らずの間

「知らずの間」の詳しいことが判明した。

「この部屋に隠したい秘密にまつわる品を隠すとその秘密は一生暴かれない」…という噂

出典:つれないほど青くて あざといくらいに赤い 第三十九問 著者:tomomi

「知らずの間」は「秘密隠しの間」とも呼ばれ、隠しておきたい秘密を永遠にバレないようにする部屋であるようだ。

この部屋には、あらゆる過去の秘密が溜め込まれているのだろう。

部屋に入ったショウコは早速自分が隠した秘密の手紙を破り捨てた。
読み取れる四つの欠片を解読すると……

欠片A:「初めてお見掛」「好きに」
 欠片B:「改めてこの気」「お伝えした」「今」
 欠片C:「いので」「日の放課後」「体育館」
 欠片D:「為水ショウコ」

きっと、ミハヤに宛てたラブレターだろう。
放課後にミハヤを体育館のあたりに呼び出そうとしたのだ。

しかし、ここで疑問が生じる。
ショウコが隠したい秘密とは何だったのだろうか?

管理人が考えるに、ミハヤへの恋心を自分から切り離したかったのだろう。

ハルヲがミハヤに恋心を抱いた結末は、怪物となってミハヤを襲う夢を見て、ミハヤの眼を傷つけ、果てに行方不明となってしまった。

それを知ったうえで、自分も同じ目に合わないように、ミハヤへの恋心を、自分自身にも悟られないように「知らずの間」に隠したのだろう。
その結果が、ファンクラブを結成し、崇めるにいたったのだと思う。

暴かれた恋心が、ショウコの気持ちをどのように変えるのか、見守りたい。

なぞの企画書

ショウコの手紙とは別に「知らずの間」の秘密を漁るアラタだが、テレビ番組の企画書を見つけた。

出典:つれないほど青くて あざといくらいに赤い 第三十九問 著者:tomomi

どの七不思議なのか考えるアラタであったが、その姿を覗き見る人影があった。
その後姿は、どうみてもミハヤに見える。
このミハヤらしき後姿を追って、「今度は負けない」とアラタは言うのだった。

この鬼ごっこのリベンジは、第四~五問で異世界にておこなった鬼ごっこのことだ。

ショウコを置いて、躊躇なく追いかけるアラタだが、逃げているのは本当にミハヤなのだろうか?
「知らずの間」は、あったりなかったりする部屋なので、入れたということは今は異世界にいるということになる。

第四~五問のとき、異世界には金網に追いすがるような石像が複数あり、なにかに追いかけられていた。
とすると、もし異世界にいるならば、そのなにかが潜んでいるかもしれない。

今度は、怪異が逃げる役としてミハヤの姿を借りていると想像している。
だからこそ、ミハヤの後姿しか見えないのだ。
きっとこの続きは、ずっとミハヤの背中を追いかけるだけになるだろう。
しばらく追いかけるが追いつけず、違和感を覚えたところで怪異が襲い掛かってきて、ミハヤが助けてくれるか、もしくは「知らずの間」に逃げ込み、そこから現世に戻ってくるのだろう。

おわりに

八月十七日、十八日は、三十九問の公開、第4巻の発売、クリープハイプのMMV公開、と3つもイベントが重なり、密度の濃い二日間であった。
管理人の住んでいるところは、田舎なので、単行本が発売日に入手できないのだが、さっそくkindleで購入させていただいた。
kindleは、単行本と違って、カラーがそのままになっているので嬉しい(他の電子版は知らないが…)
ぜひ単行本派の人は、一冊だけでもよいのでkindleで入手してみてほしい。

次回、二〇二三年九月一日更新予定。

コメント

タイトルとURLをコピーしました