第四十三問[夢見たのは何故か] つれないほど青くて あざといくらいに赤い 感想&考察

つれないほど青くて あざといくらいに赤い 感想&考察

知山アラタと速水ミハヤの逢瀬は、アラタがミハヤの首筋を噛む官能的な瞬間で終わった四十二問。
妖艶な画と衝撃的な展開を迎える第四十三問。

見どころは、ミハヤの魂のこもったイラストである。
ここ数話はかなり力を込めてミハヤを描いているとは感じていたが、全てはここにつなげるためであったと言えるだろう。

魔貌

アラタとミハヤの絡みは、まぐわいを描いているかのようだった。
セリフは一切なく、アラタが感じ取ったイメージを押し込めたような、淡々と言葉が流れる数ページだった。
直接的にエロティックな演出でないのに、官能的なシーンであった。
問いを増すごとに、性的な印象が増していき、まるでミハヤに呑みこまれていくような感覚になるほどだ。
読者諸氏も鼓動が昂ぶり、吐息が熱っぽくなったに違いない。
かく言う私は、Twitterで先にイラストを見て、あまりの美しさに腰を抜かした。

犬飼先輩

犬飼が速水ファン倶楽部部員たちとともに、今回の七不思議調査の妨害、およびアラタとナツメの好奇心を抑え込みにかかった。

速水ファン倶楽部は、ミハヤを崇拝する集団であり、七不思議「速水先輩について知ってはいけない」を遂行し、強制する団体である。
その一員である犬飼が、これまで平然とアラタたちと関わっていたことが、今思うと不自然なことであった。

ミハヤの関心を惹き続けるアラタとミハヤと対等にぶつかり合えるナツメ。
ミハヤを神と崇めるファン倶楽部の面々からしたら、神の愛を独占しようとする不届き者に見えるだろう。

だが、犬飼の発言から、ただひたすらにミハヤに心酔するだけでなく、もっと深いナニカにつながっているようであった。ミハヤに近づくものを消し去ろうとしているようにも感じられる。

ラスト2ページでは、ミハヤがアラタたちを助けることができないようにファン倶楽部員で囲み、確実にミハヤとナツメを取り込めようとしているだ。

最後に「ゲームオーバー」と告げた犬飼が、何のために動いているのか、わかるときが来るのだろうか。

鬼ごっこ

今回の残された謎がいくつもあるが、アラタの質問に注目したい。

つれないほど青くて あざといくらいに赤い 著者:tomomi

最期の質問として、学校の真実を問うでもなく、七不思議について聞くでもなく、ミハヤについて訊ねるわけでもなく、犬飼のことを探ったのである。

鬼ごっこは、つれ青には度々登場している。
それこそ二問前にはムジナと鬼ごっこをしていた。

ここで、アラタが鬼ごっこを問うた真意を探ろう。
可能性の一つは、ここから逃げ出すから捕まえられるものなら捕まえてみろ。という宣戦布告が、ぱっと思いつくことである。
もう一つは、ムジナをけしかけてきたのは犬飼(または、もっと奥にいる存在)なのかという、問いである。

アラタはわざわざ挑発する性格ではないので、後者の可能性があると考察している。
追うことが好きなアラタを、まんまと異世界に誘い込み、そのまま消し去ろうとしたのは犬飼なのか?と問うてるに違いない。

状況を整理すると、七不思議調査を掲げたアラタは、都合よく為水ショウコとペアになり、都合よく「知らずの間」を通して異世界に行ったので、始末したい側からすれば、理想的な状況である。
状況証拠としては十分だろう。

おわりに

命を危険にさらす緊迫感とエロティシズムという緩急の激しい展開に、感情が大いに揺さぶられた第四十三問であった。
はたしてアラタたちはどうなってしまうのか、続きが見逃せない。

次回、二〇二三年十月二十七日更新予定。

つれ青GIF

十月十四日土曜日にtomomi氏から、つれ青のGifが公開された。
雨の中、ミハヤがこちらを覗いてくるのが、非常にかわいらしい。

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