無事にミハヤを見つけることができたアラタ。
廃校でなにか解るかと思いきや、舞台は変わり、アラタの部屋に移動した第五十三問。
ボードゲーム
二人きりでボードゲームに興じるアラタとミハヤ。
アラタは探偵、ミハヤは役者と、それぞれの職業を選び、ゲームを進めていく。
ミハヤの役者は、ほんとうにハマリ役である。アラタを誑かし、弄んできた実績からも、他人に幻想を抱かせることは造作もないだろう。
でも残念 私は「役者」さん
出典:つれないほど青くて あざといくらいに赤い 第五十三問 著者:tomomi
そっかぁ でもそうなったら色々な先輩が見れますね
お芝居だとしても先輩は先輩ですし
お芝居なら大得意だよ
先輩のコスプレが見られるなんて……!!
それに、ミハヤの嫉妬が見られたのもよい。
ナニカを話すなら、中園ナツメではなく、私にしろと嫉妬を見せたのが、じれったく、胸をざわめかせる。
登場した当初からミハヤとナツメは敵対していたが、ある種同族の部分もあり、アラタの関心を惹きつけるという点も似ている。
アラタを虜にし続けるミハヤと、仲間に引き込もうとするナツメの綱引きである。
ミハヤの圧勝であるし、今後も変わらないことは目に見えているが、この三者の関係性が好きなので、もっと出してほしい。
結婚
ミハヤの結婚観が表出した。
「結婚は人生の墓場」という言葉もあるが、それに似た残酷な考え方である。
だが、そんな考えを気にせず、というよりそんな形に囚われず、二人の関係を楽しめばよいとするアラタだった。
お互い好きな場所で暮らして
出典:つれないほど青くて あざといくらいに赤い 第五十三問 著者:tomomi
恋しくなった時逢いに行く
慕い合う気持ちは二人だけが知っていればいいし
このセリフに対して、ミハヤが笑ったのが印象的であった。
固定観念・世間体を押し付けてこないという点で、とても理想的なセリフであるが、だからこそミハヤにとって喜ばしかったに違いない。
これまで色んな人に懸想され、理想を押し付けられてきたであろうミハヤだからこそ、自分の考えを否定せずに受け止めたうえで、お互いにとって気持ちのよい関係を築くことを提案されたことは、たとえゲームの話だとしても、幸せであったと思うのだ。
きっとアラタ自身が、好奇心が抑えきれない変人であるからこそ、周囲の目など気にせずにお互いが良いと思える関係でもよいと思っているのかもしれない。
3
ゲームが終わりに近づく中、まったくゴールに辿りつけなくなった。
何度も同じマスに止まるのである。
これがミハヤの悪戯だとしたら「そんなにアラタと長くいたいのならば、さっさと負けを認めてしまえ」と言いたくなる。
だが、そんなことは言わずに、いつまでもアラタを夢中にさせ続けるべく、いつまでも追いかけられる存在であろうと、曖昧な発言や、のらりくらりした態度で振る舞うからこそ速水ミハヤというモノなのだ。
おわりに
ボードゲームを二人でするだけにもかかわらず、妖しい言動とおかしな状況に陥った第五十三問。
果たして、ゴールに辿りつけるのか。
次回、二〇二四年四月一九日更新予定。
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